画家・岡田房子氏より、平成30年 秘仏観音御開帳の折に壁画を奉納いただきました。
「折れるまで 耐えて忍ばん 竹の節」、ビルの中の竹林でさわやかな風を感じとっていただければ幸いです。
岡田 房子
- 大手消費材メーカー、工業デザイナー出身
- パッケージデザイン、広告、シンボルマーク、イラストレーションなどの制作
- 水彩画、パステル画の制作、指導
- 額縁デザイン
- 2000年から毎年、大阪、京都、高槻にて個展・グループ展
- 21世紀展会員
常設展
- レ・コパン(フランス料理)高槻店 常時8点前後展示、年3回入替え
壁画「竹林」へようこそ
竹林をいつか描いてみたいと思っていた。
法乗院では、孟宗竹の写実的表現から始め、階段を上るにつれ竹林に癒やされ心安らかになれるよう場面展開を試みた。
まず階下に立ちまっすぐに見上げる。圧倒されるような青々とした竹林が広がり、成長のエネルギーをみなぎらせている。
落葉の間からは、大地を押して筍が天に向かっている。見上げればさやさやと葉ずれの音が聞こえてはこないだろうか。
竹の間から差し込む光を追っていくと、光は竹を輝かせ、光を浴びた竹は虹色の断片となってキラキラと空の彼方へ舞い上がる。知らず知らず天上の世界にいざなわれる。本堂入り口付近は心地良い夢をみているような、安らかな空気に包まれる。
――しばしの時を仏と過ごすも良し、自分と向き合うも良し。
本堂から出ると右手には水墨画のようなモノトーンの竹林。雑念や煩悩から解き放たれた〝無〟を表現している。生まれ直した気分で階下に戻ると、はじめに見上げた竹林がまた違ってみえるかもしれない。
ビルの中の竹林。しかし想像力を持てば、もっと自由な世界が広がっていくだろう。ここを通る方々の、新しい自分を創造する手がかりになってくれればと思う。
そしてさらに心の中の普通の風景として眺めてくだされば本望である。
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高所での作業や、寒い日暑い日にも最大の配慮をしていただき、また制作過程を見守ってくださった方々へ、私ひとりの力で完成できたものではないと心から感謝している。
2018年7月 岡田 房子